こんにちは!ちょっとした小話です。大学のドイツのクラスメートから、「ぼくは新海監督作品のアニメが好きで、特に『君の名は。』が好きなんだ。何回も見てるんだよ!」というメッセージが入りました。私も大好きで、5回も映画館に行った上、DVDも購入しました!
そのクラスメートによると、『主人公のおばあちゃんが時間について教えてくれた。時間ってミステリーだよね!』とのことで、メッセージにはおばあちゃんのセリフが書いてありました。
主人公のおばあちゃんの神セリフ
土地の氏神様をな、古い言葉で産霊(むすび)って呼ぶんやさ。
この言葉には、ふかーい意味がある。
糸をつなげることもムスビ、人をつなげることもムスビ、時間が流れることもムスビ。
全部、神様の力や。わしらの作る組紐もせやから神様の技。
時間の流れそのものを表しとる。
より集まって形を作り、ねじれて、からまって、時には戻って、途切れ、またつながり、それがムスビ、それが時間
映画「君の名は。」 一葉の台詞
これは物語進行上、最重要ポイントになる台詞です。
これは、セレンディピティについての話なんですね。
Mタイム (単一的時間)とPタイム(多元的時間)
クラスメートとは一緒に「ビジネスコミュニケーション」のコースと履修しました。このクラスの中で、『時間の捉え方には2種類の文化的要因がある』と教わりました。
1つはMタイム (単一的時間/Monochronic time)。もう1つはPタイム(多元的時間/Polychronic time)。
時間に厳格な日本は「Mタイム」の文化です。
「Pタイム」はわかりにくいかもしれませんが、「10時からミーティングが始まると言っているのに、実際は11時に始まる」という文化です。
南アフリカははMタイム (単一的時間)とPタイム(多元的時間)2つの時間に関する文化があるといいます。ヨハネスブルグでは、時間通りにミーティングは始まる =Mタイム(単一的時間)。ケープタウンでは、Pタイムの文化があるそうです。
よく晴れた日の午後はランチが終わっても当分職員の人たちは仕事に戻ってこない = Pタイム(多元的時間)とのこと。ヨハネスブルグ(Mタイム)のオフィスの人がケープタウン(Pタイム)のオフィスの人に連絡取りたいと思っても、ケープタウンの社員の人たちは会社にいないことが多いとのこと。困りましたね。
ヨハネスブルグ(Mタイム)の時間の価値観の中では、人生の時間が人生の時間が仕事の時間、家の時間、プライベートの時間と分けられている。一方、ケープタウン(Pタイム)の時間の価値観の中では、それが分けられていない。仕事の時間の中でも家族からの電話とかを取ったりして全然大丈夫とのこと。
「水と油は別々に扱う」というのがMタイムで、「水分と油分どっちも混ざってるドレッシング」がPタイム、といったところでしょうか。
「Mタイム」の価値観に慣れている人たちは、「Pタイム」の価値観は集中できないし非効率だから嫌だという。日本は「Mタイム」の文化なので、これには共感できますね。
・論文: MタイムとPタイムの文化論 石井隆之
「君の名は。」での「時間」についての取り扱いを振り返る
映画「君の名は。」の中では、いろんな出来事を積み重ねて、最後にたまたま主人公二人が、電車の中ですれ違ったりしながら、「君だったんだ!」と認識できました!そこからどんなストーリが始まっていったのだろう?
最後の最後には、偶然が重なって求めていた結果を作り出しました!英語で言うと「セレンディピティ」。
セレンディピティが最終的な大きな結果をもたらせてくれるというのは、発明の領域でも、ビジネスの領域でもよく聞きますよね。
例えばカメラマンが職業の人だったら、たまたま出かけた場所がすごく良くて、そこにいる人もすごく雰囲気出ている人たちで、写真撮ってみたらすごく良い雰囲気の写真になって、その連続がいい作品作りにつながっている。人々の心に響いて、仕事が増えていく、というような結果になる。
この例の中だったら、そのカメラマンの価値観の中で、仕事とプライベートが分けられてないので、このカメラマンは「Pタイム(多元的時間)の文化」を主軸においている、ということになります。
生産性って、最終的にはセレンディピティの質の創出で出来ているものも多いのではないでしょうか?
セレンディピティの質を上げるためには、良質な偶然が起こりやすくするための仕組み作りも必要だと考えます。
Wikiによると、「君の名は。」の興行収入は、日本で250.3億円(2017年8月6日時点)、世界で $361,024,012。
この結果には、どれだけ質の高いセレンディピティが含まれているのだろう?
ドイツにいる大学のクラスメートは、『君の名は。』のおばあちゃんのセリフが大好きだと言っていましたのと同時に、『時間泥棒』が出てくるドイツの文学、『モモ』も好きだと言っていました。
・論文: 『モモ』における時間性 ―― 教育における計画再考 ―― 生越達
時間についての価値は、どこの国の人にも刺さる深いテーマですね!
セレンディピティを味方につけて、介護生活を楽にしていきたいですね。
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